司法ウオッチ<開かれた司法と市民のための言論サイト>

 

 「犯人」の母親と町長の息のかかった関係者が接触したことを知り、兄は再びその母親に会った。そして、意向を質した兄に返ってきた言葉は、「控訴を決断した」という言葉だった。何を話しても、前回とうって変わった毅然とした態度で、表情は無表情のままだったという。

 

 私たちの嫌な予感は的中した。「社協」の影におびえていたようにも見えた母親は、町関係者との間のやりとりで、直ちに控訴断念の意向を翻した。強い力を感じざるを得なかった。

 

 あくまで憶測だが、裏で意図を引いているのは、町・社協側についている弁護士らではないか、と私たちは考えていた。社協、町長自身らが控訴する手段として、どうしても加害当事者の控訴意向を引き出すべき、ということがあったのではないか。単独でなく、ここは加害者側が足並みをそろえて、控訴するというのが得策という戦略があり、それを背後で指南し、強く推した人間がいるとの読みである。

 

 これによって、ある意味、世間体は整い、町長らは堂々と、社協内で、高裁に向けての裁判についての会議ができ、町民に対しても、顔向けができる。控訴するか否かは、多数決で決められる。町の有権者は、無視され、蚊帳の外に置かれる政治が行われる。残念な話だが、力のある町長派が圧倒的に有利であり、多数決をとり、強引にでも控訴を仕掛けることになる――そんなことが、想像できた。

 

 そうした彼らの考えが透けて見え、その卑劣な彼らのやり方を許せなかった兄は、その後、たった一人で社協会議に乗り込み、抗議しようとしたのだが、入口で羽交い絞めにあい、残念ながらその中には一歩も入れてもらえなかった。

 

 「犯人」の母親と、町関係者との間に、具体的にどんなやりとりが交わされ、その結果、母親が意向を翻し、彼らの戦略に取り込まれていったのか。それは、これからも永久に明らかにされないだろう。情報を提供してくれた町議は、「控訴しなければこの町に住ませないようにする」という脅しがあったらしいことも言っていたが、その事実も、また、その中で何が母親に提示されたのかも、本当のことは多分これからも分からない。

 

 ただ、何らかの強い圧力が、この加害当事者にかかったことは想像できた。そのことを、おそらく戦略を描いているはずの弁護士たちが、全く知らないなどということが果たしてあるのだろうか――。

 

 そんな答えが出せない疑問と、あの日、兄におびえたように言ったという「助けてくれる?」という言葉が、自分のなかで駆け巡っていた。私たちが当初予想もしていなかった、まるで様々な人物たちが登場してゲームをしているような展開が、裁判をめぐって、今、行われている。そのことが、正直、信じられないという思いだった。



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