司法ウオッチ<開かれた司法と市民のための言論サイト>



 〈伝道する人がいなかった戦争放棄の哲学〉

 言えば言うほど、書けば書くほど、日本国憲法9条は人類史上最も優れた哲学であることが分かる。憲法9条を教え広めることは、弁護士としてのみならず、日本人としての使命である。今、この世に生きている日本人の使命である。地方弁護士も弁護士である以上、9条改定阻止は、その社会的使命であると考え、地方住民にそのことを知らせ広め、共に同じ方向を向いて、行動すべきであると確信する。9条を語り、9条を守る知音、つまり心をよく知っている仲間の輪を広げたい。

 地方弁護士は、日本国憲法、特に9条の戦争放棄の哲学の伝道師とならなければならないと確信する。戦争に反対する考え方は、昔から多くの人が語ってきたが、国家として戦争放棄を憲法に掲げた国がなかったのは、何故だろうか。戦争放棄の哲学を伝道する人がいなかったからではなかろうか。

 仏教にも、キリスト教にも、そして孔子の教えにも、それを広めた弟子や伝道師がいた。日本国憲法にも伝道師が必要である。日本国憲法、特に9条の伝道師として期待されているのは、弁護士だと思う。地方弁護士として、地方住民に憲法9条という最高の哲学を広める仕事は、地方弁護士の社会的使命であると確信する。

 そのような思いで、これまで「田舎弁護士の大衆法律学」シリーズは、民法の本や刑法の本も発行したが、最も多く発行したのが、憲法の本である。この今回の連載のテーマは、「地方弁護士の社会的使命」であり、憲法ではない。だが弁護士の使命は、憲法が究極の価値としている人命と人権を守ることにあると考えている身としては、これまで自分が発行してきた憲法の本を見直し、これからの地方弁護士としての社会的使命をどのように果たすべきかを見つめたい。


 〈「戦争の放棄」「国民の権利及び義務」シリーズ〉


 ちなみに、駄弁本「戦争の放棄」シリーズの第1巻から第25巻までのサブタイトルは、以下の通りである。それを見れば、これまでどのようなことを述べてきたのかのアウトラインは分かる。それを見直し、これからの「戦争の放棄」シリーズの方向性を見付け出したい。蛇足と思えるが、「戦争の放棄」シリーズのサブタイトルを書き出してみる。

 第1巻 平和憲法の危機

 第2巻 平和憲法の心’(反省と理想)

 第3巻 日本国憲法の心は世界憲法の心

 第4巻 自民党の憲法改定草案

 第5巻 自衛隊はどこへ行くべきか

 第6巻 集団的自衛権

 第7巻 日本の防衛はどうすべきか

 第8巻 石破茂氏の「日本人のための集団的自衛権入門」に対する反論

 第9巻 原発は受け身的核兵器

 第10巻 平成20年6月24日付「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」報告書に対する反論

 第11巻 マインドコントロール

 第12巻 愛国心

 第13巻 集団的自衛権行使容認 閣議決定に対する反論

 第14巻 日本人の心のよりどころ 9条

 第15巻 9条は、自衛戦争も放棄している

 第16巻 9条は世界憲法(9条私感)

 第17巻 9条の理想への途

 第18巻 砂川判決 

 第19巻 カウンター・デモクラシー

 第20巻 戦争防止論その1――アインシュタインとフロイトの手紙

 第21巻 戦争防止論その2――欲望と戦争(前段)

 第22巻 戦争防止論その3――欲望と戦争(後段)

 第23巻 9条は戦争という防衛手段を放棄した

 第24巻 戦後75年と憲法9条講演録

 第25巻 コロナウイルスと憲法9条

 憲法の本は、「戦争の放棄」シリーズは一段落したと考え、そのご「国民の権利及び義務」シリーズに入った。国民の権利シリーズは、まだ4巻だけだが、これから書き続ける。念のため、これまで発行した「国民の権利及び義務」シリーズのサブタイトルも書き出しておく。

 第1巻 大衆法律学と納得

 第2巻 隠れている部分を見る――憲法改正手続

 第3巻 納税の義務と税金の使い道

 第4巻 学問の自由

 「国民の権利及び義務」シリーズは、国民の権利が国家機関によって侵害されそうな気配を感じたら、すぐに書く。また、国民の義務については、真の国民の義務とは何かを見極め、その義務を果たすための途を捜し出し提言していきたい。それも弁護士の社会的使命とは言い聞かせ、楽しみながら、その役目を果たしたい。

 地方弁護士の社会的使命は、人命と人権を守ることにあると考える身として、人命を奪う最大の人間の行いである戦争を阻止しなければならないと考え、「戦争の放棄」シリーズの発信に力を入れてきた。これからも、機会ある度に9条の哲学については、語り書き続けたい。それは自らの社会的使命と考え、やり続けたい。

 (拙著「地方弁護士の役割と在り方」『第2巻 地方弁護士の社会的使命――人命と人権を擁護する――』から一部抜粋)

 「地方弁護士の役割と在り方」『第1巻 地方弁護士の商売――必要悪から必要不可欠な存在へ――』『第2巻 地方弁護士の社会的使命――人命と人権を擁護する――』『第3巻 地方弁護士の心の持ち方――知恵と統合を』(いずれも本体1500円+税)、「福島原発事故と老人の死――損害賠償請求事件記録」(本体1000円+税)、都会の弁護士と田舎弁護士~破天荒弁護士といなべん」(本体2000円+税)、 「田舎弁護士の大衆法律学 新・憲法のこころ第30巻『戦争の放棄(その26) 安全保障問題」(本体500円+税)、「いなべんの哲学」第1~16巻(本体1000円+税、13巻のみ本体500円+税)も発売中!
 お問い合わせは 株式会社エムジェエム出版部(TEL0191-23-8960 FAX0191-23-8950)まで。

 ◇千田實弁護士の本
 ※ご注文は下記リンクのFAX購買申込書から。

 ・「田舎弁護士の大衆法律学」シリーズ

 ・「黄色い本」シリーズ
 ・「さくら色の本」シリーズ

 ・「白い本」シリーズ





スポンサーリンク


関連記事

New Topics

投稿数1,242 コメント数412
▼弁護士観察日記 更新中▼

法曹界ウォッチャーがつづる弁護士との付き合い方から、その生態、弁護士・会の裏話


ページ上部に