司法ウオッチ<開かれた司法と市民のための言論サイト>



 〈女性弁護士弾圧と民主派逮捕〉
 

 先日、NHKの「ドキュランドへようこそ」という番組を見て、イランの女性弁護士ナスリン・ソトゥデさんのこれまでの活動とそれに対する政府の弾圧の実態を知った。

 彼女は、女性は公共の場でヒジャブ(頭部を覆うスカーフ)をつけなければならないというイラン国法に反対し、また死刑制度に反対する活動を法廷の内外でしてきたことによって、禁固38年の刑と148回の鞭打ちの刑に処せられて収監された。彼女は刑務所内でハンストをして体調を崩し、一時釈放されたが、再収監されたという。ナスリンさんは2012年に欧州議会で優れた人権擁護活動家に贈られるサハロフ賞を受賞している。

 香港では、国家安全維持法が施行され、民主派活動家らが次々と逮捕起訴されて実刑に処せられ、また民主派議員も相次いで辞任する事態になっている。また、マスコミへの弾圧が強まり、これまで市民デモを合法的に組織してきた市民団体も解散に追い込まれているという。1国2制度を受け入れて、1997年イギリスから中国に返還された香港では、今、言論、表現の自由、集会、結社の自由が制約され、民主主義は風前の灯の状態にある。

 2021年2月の軍事クーデターによって政権の座に就いたミャンマー国軍は、民主化を求める市民に対し武力を行使し多数の市民を殺傷している。

 私たちの住む国はどうだろうか。イラン、香港、ミャンマーで起きていることとは事情は異なるが、沖縄の米軍基地の永続化による沖縄県民の方々に対する日本政府の対応は、米国の利益代表のように普天間基地の代替施設として辺野古の海を埋め立て新たな基地を作ることに汲々としている。

 太平洋戦争末期、我が国の本土で唯一地上戦が繰り広げられ、幼少の者を含めて約20万人の生命が奪われた島の人々への報いがこの現状であることを思うとき、怒りが静まることはない。


 〈東京オリンピックに思う後ろめたさ〉

 新型コロナの感染拡大が収まる気配がない。開催反対の声の高まる中で、1年遅れで開催された東京オリンピックは、開始後連日、選手たちによる熱い戦いが繰り広げられ、その模様はテレビで放送された。

 私も時間を忘れて見ていることもあった。しかし、その間にも上記の弾圧や差別で苦しんでいる人々のいることを思うとき、ただそのスポーツの結果に一喜一憂していて良いのであろうかと、些か後ろめたい気持ちにもなった。

 そのオリンピック期間中に、ベラルーシの陸上競技の女子選手クリスチナ・チマノウスカヤさんが本国への強制送還を命じられ、空港で他国への亡命を希望することを訴え、結局ポーランドへの亡命を果たした。ベラルーシは欧州最後の独裁者といわれるルカシェンコ大統領の支配する国である。



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